tabenyanのブログ

寝ても起きても、食べるの大好き。何と言われても、好きだから仕方がないんです。

海老せん

 

 このところ、なぜか口内炎に悩まされている。何かの物質が足りていないとか、ストレスだとか、原因は人それぞれかも知れない。でも、私の場合はおそらく……。
「今日は、健康的な一日を過ごすぞ」
「すごすぞ」
 となりで、同じようにガッツポーズをしている子ども。
「今日は、甘くないお菓子を食べようね」
 口内炎の原因はおそらく砂糖だ。健康的な一日といっても、砂糖摂取量を減らすことなのだ。
「これこれ」
 ディスカウントスーパーで売られている、一袋88円の海老せんを手に取る。
「えびせん」でも「エビセン」でもない「海老せん」なのだ。二枚ずつ入った袋が8つも入っている。
 どのお菓子も、昨年の同じ時期よりぐーんと高くなり、内容量も軽くなってるけれど、このお菓子はそれほどでもない。

 そろそろ新茶が顔を出す季節。今のうちに家にある煎茶を飲もう。おせんべいにもってこいだ。
「軽くていいね」
 袋をあけると、ほんのり海老の香り。丸いおせんべいに赤い点がある、海老だろう。
「おいしいね」
 返事がないなあと思っていたら、もうすでに二袋目に子どもは突入している。
 まあ、いいか、そんなに塩辛くないし。
 なんといってもお手頃価格だ。
 サラダ味もあるこのおせんべい。
 お菓子をたくさん消費する、我が家の強い味方となりそうだ。

ぽりぽり小魚

「お魚さん、釣ってみたいな」
 近くの公園の池、数人の大人が釣り糸を垂れている。ベンチに腰掛けて、すぐ近くのおじさんの釣り竿をしばらく見ていると、釣り竿に小さな団子のようなものをつけては、釣り竿を池の中にしずめている。浮きが動くと、すかさず釣り竿を引き上げるけれど、竿の先に魚はいない。
「なかなか釣れないのよ、きっと」
「いいから、釣ってみたい」
 そういわれても、昔一度だけ、サビキというものをやったことしかない。大きな目をした小さなカタクチイワシがたくさん釣れたけれど、小さすぎて食べることもできず、海に帰したことを覚えている。
 しきりと釣ってみたいという子どもに、困った私は、少しいじわるな質問をしてみる。
「お魚さん、釣れたら食べるの?」
 案の定、子どもは首をふる。そう、大の魚嫌いなのだ。
「じゃあ、食べられるようになったら、釣ってみようね」
 そういうと、素直にうん、と返事が返ってきた。
 釣り人のおじさんは、相変わらず釣れないようだ。水面を桜が彩っている。釣り竿が池に投げられて花びらが水面をなめらかに泳ぐ。
「じゃあ、お魚さん、食べる」
「ええ、本当に?」
「うん、お魚さん、今からかいにいくの」

 半信半疑に子どもの顔を見る。子どもは、きゅっと唇をかみしめて、またうなずいた。

 釣り竿がまた水面からあがってくるのを相図に、私たちは立ち上がった。
 スーパーに行くと、子どもが手をふりほどいて走っていく。ついて行くと、そこは魚売り場ではなくて、いつものお菓子売り場だ。
「これ、食べる」
 ぽりぽり小魚だ。そういえばこれ、祖母が骨粗鬆症だといって食べていた……。
 子どもはよく見ている。小さな袋に小分けになっていて、甘いかたくちいわしが数匹入っているものだ。

 家に帰ると、さっそく袋を開けた子どもが目をぎゅっとつぶって小魚を口に入れる、すぐ近くにオレンジジュースを用意して。魚嫌いの子どもとしては、お菓子であっても魚を食べるのはよほど覚悟のいることなのだろう。
 かみ砕いてうっすら目を開けた子どもが、
「おいしいね、甘い」
「でしょう、お魚さんっておいしいでしょ」
「うん」
 それからすぐ、オレンジジュースを飲んで、絵本を取りに隣の部屋に走って行ってしまった。
「じゃあ来週にでも、釣り、してみようか」
 小魚だって立派な魚だ。食べられたら釣りをするという約束を果たさねばならない。    さあ、竿を買って、釣り餌は何がいいだろうと考えていると、
「ううん、やっぱりいい。また今度ね」
と、返事が返ってきた。あれれれれ。おかしいなと思っていると、食べかけのぽりぽり小魚はいつまでも完食されることなく、袋の中に小魚が数匹、うらめしそうにこっちを見ているのに気づいた。

ムーンライト

 折からの春風に散り急いでいる桜の花びらが、髪の毛やかばんをピンクに染める。近くの桜は、花がだいぶ散ってしまって、枝の先から緑の葉がのぞいている。このあと、桜の木が鮮やかな葉桜に衣替えすると、すぐにカンカン照りの暑い夏がやってくるのだ。それが大人の私には分かっているから、暑さが苦手な私は散った桜の花びらをのりで木にくっつけたい気持ちになる。
「ピンクのあめだね」
 桜吹雪に喜ぶ子どもは無邪気に花びらと戯れている。その姿を見ていると、今を楽しまなくちゃと思う。
「おやつ、食べようか」
 近くにあったベンチに二人して腰掛けると、ドラッグストアで買ってきたお菓子を探る。
「はい、これね」
「あ、おつきさまだ」
 いつか、私がムーンライトをお月様だよと渡したのを覚えていた子どもが、すぐさま手にして天にかざす。二つずつ袋に小分けされたものが7袋入って200円弱。口に入れると、高級洋菓子店といわないまでも、バターがきいた適度に柔らかな生地が口の中いっぱいに広がる。この頃では、チョコレート色したムーンライトもあるけれど、この甘やかなバター風味のこの味が一番だ。
「なくなったよ」
「じゃあ、もう一袋ずつ食べようか」
 まだ3袋残っているのを確かめて蓋を閉めようとすると、隙間からピンク色の花びらがさーっと入り込むのが見えた。そっと蓋をすると、もう二度と訪れることのない今日という春の思い出を閉じ込めたような、切なく温かい気持ちが広がった。

さくらもち

さくらもち

 普段はクッキーや洋菓子を食べていても、桜前線のニュースが流れるとどうしてもさくらもちが食べたくなるから不思議だ。
「さくらもち、探しに行こう」
 他の餅は食べないのに、さくらもちは大好きだから子どもはにっこりうなずく。どうやら、桜の葉っぱをはがすというイベント(?)が気に入っているようだ。
 スーパーをうろうろすると、さまざまなさくらもちが売られている。道明寺粉で作られた関西風の餅タイプのものから、関東風の小麦粉で包んだものまで、数種類のものが三色団子などとセットして陳列されている。私はといえば、やはり関西風の餅タイプのものが好きだ。しかも、こしあんで、桜の葉っぱがはがれやすいものがいい。このわがままを満たしてくれるのは、近所の和菓子屋さんのものだ。
 いつもの和菓子屋さんに行くと、この時期ならではの特価となっている。お母さんみたいな店員さんが、ゆっくりと陳列ケースから出してくれる。この間合いのおかげで、私はいつも目的の和菓子以外のものに目が向いて、気がつくと追加注文している。今日も、さくらもち3つに上用まんじゅう1つを頼んでしまった。
 家に帰るとすぐ、濃いめの煎茶を入れて、湯気がくゆっているうちに包みを開ける。食紅で色づけされた餅の中に、しっとり甘い餡が隠れている。口にすると、桜の葉っぱの香りがふんわりと広がる。甘くてたまらないのは一瞬で、濃い煎茶がその甘さを中和してくれる。
 気がつくと、子どもは二つ目のさくらもちに手を伸ばして、嬉しそうに桜の葉っぱをはがしている。子どもがお昼寝してからこっそり二つ目を食べようという思惑は、窓から流れてくる少し寒の戻った風の流れとともにかき消される。

スプリングオニオンクラッカー


 花粉に加えて黄砂まで飛来しているらしい。マスクをしていても、目がかゆい。隣からは子どものくしゃみが聞こえる。早々に家に避難して、お茶を沸かす。
「今日のおともはこれね」
 香港で有名なお菓子で、Gardenという会社が作ったスプリングオニオンクラッカー(ネギクラッカー)。二つの袋に小分けにされて箱の中に入っている。
「ごまのあじがするね」
 ごま?ネギじゃなくて。
 薄くて歯ごたえのある軽いクラッカーの先には、ごまとネギの風味がほどよく香っている。これは、煎茶でも紅茶でもコーヒーでもなくて……。お茶の引き出しを開けて探ると、見つけた見つけた。ずいぶん昔にどこかでもらったジャスミンティーのティーパック。
「いいにおいだね」
 ジャスミンティーとネギクラッカーの香りが、けんかせずにやわらかにまざりあう。
 でも……。
 このクラッカー、とても素朴だ。聞けば、香港にはいろいろな風味のクラッカーがあるらしい。日本にはそこまでクラッカー文化はないような気がする。どうしてだろう。
 考えてピンとくる。香港は暑い時期が多いと聞く。だから、塩気があってこんなふうにサクッと軽いお菓子が受けるのかも知れない。
 日本にははっきりした四季がある。お菓子にだって。
 テレビから、桜が開花したというニュースが流れている。春はもうそこまできている。
 なんだかむしょうに桜餅が食べたくなってきた。そうだ、買いに行こう。
「お散歩に行こうか」
 目を輝かせている子どもの隣で、頭の後ろにほのかなピンクの桜餅とともに、満開の桜並木が浮かんだ。

パイナップルケーキ

パイナップルケーキ

 台湾名物のパイナップルケーキ。中にパイナップルのジャムや餡が入っていて、外側はバター、小麦、玉子で作った生地で包まれている。中身のジャムの固さや味、そして外側のバターの配合などが、各お店で特色があるところが楽しい。
 台湾に行くと、パイナップルケーキ屋さんが点在している。パイナップルケーキ屋さんでなはくても、パン屋さんやお菓子屋さんにも独自のものを置いている。私のお気に入りは、中身があっさりしたもので、外側がバター風味が濃厚なものだ。値段は安いもの一つ50円くらいから。高いものは500円くらいするのだろうか。いろんなお店をめぐって、一つずつ仕入れて歩きながら食べるのが楽しい。日本で言えば、何に当たるのだろう。豚まんとか、ソフトクリームなんかになるのだろうか。
 そんなパイナップルケーキだけれど、一昔前では日本で手に入れるのが少し難しかった。ネットで見つけてやっと、という状況だった。ところが、この頃では輸入食品店で気軽に買うことができる。東京あたりでは、パイナップルケーキを作っているお店だってあるらしい。
 パイナップルケーキには、紅茶が合う。砂糖は少なめがいい。
「三つ目もらい」
 子どもが手にして喜んでいる。今日手に入れたパイナップルケーキは6個入り。残っているのは3つ。
「今日はそれで終わりね」
「もうひとつ欲しいなあ」
 やれやれ、私の口には幾つ入ることだろうとため息をつきながら、ゆらめく紅茶の湯気を見つめる。 

トムヤムカシューナッツ

 カシューナッツはそれそのものがおいしいので、塩味なんかがついていなくて、ただ単にローストしたものでじゅうぶんだと思う。ピーナッツよりも自己主張が強くなく控えめな味だけど、かみごたえも優しく、くるりと丸まって見た目もかわいらしい。お値段は少し高めだけれど子どももそんなに食べないので、自分へのご褒美としてえいやっとかごに放り込む。
 それそのものがおいしいカシューナッツなのに、これにトムヤム味をつけるなんて誰が考えたのだろう。レモングラスや唐辛子、ココナッツ……複雑な味がカシューナッツにまとわりついて、おいしさ倍増。袋に入れる手が止まらない。残念ながら、カシューナッツはそんなにたくさん入っていなくて、何度も食べた後に袋をのぞき込むと、カシューナッツにまとわりついていたレモングラスなどの具材がたんまり残っているだけ、てなことになる。でも、それらはおいしい具材だからと食べると、歯にくっついて取れなくなってしばらく大変な目に遭う。そういいながらも、口に残った余韻を楽しむのが醍醐味だ。
 これはタイの製品だけれど、同じようなものがカルディコーヒーにも売っていて、やはりそんなにたくさん入っていないのに、お値段も確か200円以上はしていた。とはいえ、おいしいので見かけるとついつい買ってしまうのだ。