ぽたぽた焼
蝉の声がばったりしなくなった。気の早い秋の虫の声が夕闇に聞こえる。開けっぴろげで生き生きした夏も去って行くのだなあと一抹の寂しさを感じていたけれど、まだまだ暑さはやわらぐ様子はない。少し安心しつつ、子どもと二人スーパーを見回す。
このところ、どこを見回してもお米の棚はがらんとしているし、どの商品もみたことのない値段設定になっている。給料は上がらないのに、とため息をつきながらお菓子コーナーをぼんやり見ていると、ぽたぽた焼が目に入る。大きな袋、一つの袋に二枚入って十袋入り、今日は特価で158円、これはいい。かごに入れていそいそとレジに向かう。
真っ白いお皿にぽたぽた焼を二枚のせ、子どもは麦茶、私は温かい玄米茶を用意する。袋を開けてそのままバリバリとするより、こうすると背筋が伸びて、どこかにお呼ばれしておやつをいただくような気分になる。
「もう一袋たべてもいい?」
という子どもの問いにも、すぐさまいいよ、と気が大きくなるくらいたくさん入っている。お米でできたお菓子だから、添加物も少ないだろう。
そうこうしているうちに、すぐに残り少なくなってしまうのだ。