tabenyanのブログ

寝ても起きても、食べるの大好き。何と言われても、好きだから仕方がないんです。

チョコバットA(エース)

チョコバット

 あー、なんだかお腹が空いたなあ。
 駄菓子屋に入ってお菓子を眺めると、あったあったチョコバット。一昨日と昨日、玄関の掃きそうじをしてもらった掌の二十円を見つめる。ン十年前の小学生の私の中では、駄菓子の二十円は高かった。十円のどんどん焼きやフーセンガムをちらっと眺めてから、えいやっとチョコバットをつかんで、店のおばあちゃんに二十円を渡す。おばあちゃんのにっこりした顔にバイバイをしてから、鉄砲玉のように店を飛び出すのだ。
 直射日光が傾きかけた夕方。ひとけのない小さな公園のベンチに腰を下ろすと、ポケットからチョコバットを取り出す。袋を慎重に開けると、ドキドキしながら中をのぞき込むのだ。そう、チョコバットはくじ付きなのである。くじの部分を破いてしまわないように開けるのが、第一関門だ。
 あーあ
 くじの部分にアウトと書かれているのは、私にとってはいつものことだ。隣のクラスのみきちゃんは、ホームランを二度も引き当てたと言っていたけれど、くじ運の悪い私はまだ、ホームランはおろか、ヒットにも出会ったことがない。
 気を取り直してチョコバットを見つめる。暑いけれど、夏でも溶けにくいこのチョコはお気に入りだ。そして、かじってお腹に入れると、次の瞬間、気がつくともう食べ終わっている。それくらい、夢中になれるおいしさ。二十円は高いけれど、これ一本食べれば、お腹が結構満たされるというのも素晴らしい。

チョコバットって知ってる?」
 大人になって、久しぶりにコンビニで出会ったチョコバットに、嬉しくなって手にした。
「知ってるよ。でも、買ったことない」
 どうして?、と子どもに言いかけて納得した。値段は三十円。物価の推移からしたら十円のアップはしかたないけれど、子どもに三十円はやっぱり高いのだろう。
「じゃあ、きょうはおかさんが買ってあげる」
 コンビニから出ると、あの頃のように、でも、あの頃より気温の高い公園の熱々のベンチに座って、子どもと二人、かじりつく。
「おかしのチョコパンみたい、おいしいね」
「ほんとね!」
 そう言ってから、なんとなくピンときて、製造会社をみたら。
 あらら、三立製菓だ!今の今まで気付かなかった。
「おかさん、チョコバットがいっぱい入ったの、そこのお店に売ってたよ」
「いっぱい入ってる?そんなのあるの?」
 子どもに引っ張って行かれた、ある薬局の店頭。チョコバット八本入りの袋が積まれているではないか!!こんなのがあったなんて!!!
 子どものころにはたらふく買えなかったリベンジを今こそ。
 気がつくと、私は八本入りの袋を三つも買っていたのである。隣で、子どもがニヤニヤしていたに違いない。