tabenyanのブログ

寝ても起きても、食べるの大好き。何と言われても、好きだから仕方がないんです。

フンドーキンの「あまくちさしみ」

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 関西に生まれ、関西に育った者にとって、醤油とはだし風味のだしじょうゆか、色の濃いうすくちしょうゆのどちらかだと思っていた。ちょっとかつおやこんぶのだしのほんのり漂う上品な香り、そして醤油らしいからい香り、それこそが醤油だ、そう、疑っていなかった。ところがある日、どこかの食堂に置かれていた醤油を使った私は、ががーんと頭を殴られたような衝撃を受けた。醤油が甘い!隠し味でも何でもなく、真正面から。黒いのに甘い!刺身醤油として使っていたそれがまた、わさびのつんと相まって、見事なハーモニーを生み出している。やられた、と思った。酢豚に入っているパイナップルのごとく、すごい技、プラボー、と思った。
 九州に行くと、必ず購入するのが、フンドーキンの「あまくちさしみ」だ。さしみという名前だけれど、魚のさしみではなくりっぱな醤油で、色はうすくちしょうゆっぽく黒い。でも、ねっとり甘い。少し脂ののったぶりやタイなどの刺身に、とてもよくあう。刺身ばかりでは、と思って、この間煮物に入れたところ、蜂蜜をどどっといれるよりも、こっちのほうが煮物らしい甘さがひきたつ。今では、これがないと煮物が作れないくらいになっている。なくなったら大変なので、定期的に九州に行かねばならない。とはいえ、だし醤油も必要だ。うちの台所には、醤油が何本か並んでいて、用途に応じて使い分けている。(写真が横になってごめんなさい)