tabenyanのブログ

寝ても起きても、食べるの大好き。何と言われても、好きだから仕方がないんです。

ベビースターラーメン

 まるで禁断の果実のような、衝撃的なおいしさ!はじめてこのお菓子を口にしたとき、まだ小さな子どもの時、もうそれは驚きだった。ラーメンというだけでもおいしいのに、それをゆでずに、そのまま食べられるなんて素晴らしい、私は感動した。あの、かりっとした歯ごたえ、口に広がるチキン風味の濃厚さ。二十円の小さな袋がすぐにからになってしまう。
 しかし、こともあろうに、小さい頃の私は、ベビースターラーメンを食べることを、母から禁じられていた。それでなくてもラーメン好きで、食事でもラーメンばかり食べるのに、お菓子までラーメンだと具合が悪いからという理由だ。死ぬまで三食おやつすべてラーメンでいいと本当に思っていた当時の私には、ベビースターラーメンを禁止されて、それはそれは辛かった。
 しかし、そんなことでは負けない。ある日、小遣いをもらった私は、その足で駄菓子屋に行き、ベビースターラーメンを十袋大人買いした。このまま家に持って帰ったら、母に捨てられてしまう。そう考えた私は、近くの公園の木の根本に穴を掘り、それらを埋めた。これでひと安心だ。その翌日、掘り返すべく公園に行ったけれど、どの木の根本に植えたのか、まったく覚えていない。片っ端から掘ってみたけれど、あのベビースターラーメンの束はどこにもない。その日から、何度も何度もいろんな所を掘り返したけれど、ついぞ見つけることはできなかった。
 あれからウン十年。自分でお金を稼ぐことが出来るようになると、私は真っ先にベビースターラーメンを買いに行った。こそこそ買って、鞄に放り込む。今や、誰もベビースターラーメンを買ってもとがめる人はいないのに、なんとなくやっぱりこそこそしてしまう。そして、心ゆくまで食べたときの感動!
 しかも、今は、いろんな種類の味が発売されている。太いのもある。給料日になれば、それらをまたこそこそ買いに行き、子どもに隠れてこっそり食べるのが、また禁断な感じを一層かきたてて素晴らしいのだ。